第4章 お客様を創る

知名度がないものは選ばれにくい

起業直後は知名度がない

 

  起業直後は全く知名度がありません。確かに今までの人間関係があるので、知名度は全くのゼロではありませんが、「商売相手」となるお客様を取ると考えたときにゼロに等しいと考えてもらった方がよいと思います。

 

  ちなみに、企業相手の会社(事業)をスタートした場合、義理やしがらみでなく一から作ったお客様としっかり商売ができるまで3年ほどは掛かります。

  もちろん、扱う商品の新規性や営業パワーがあれば1年目からでも商売は成り立ちますが私の経験値からすれば一般的に3年は耐えなければならないと思います。

 

  さて、認知の話です。みなさんご自身がテレビを買う場合を想像してみてください。

  店頭に「加藤印のテレビ」と「パナソニック製のテレビ」が並んでいたらどちらを買いますか?品質・機能が同等で「加藤印のテレビ」の価格が安ければ、よーく見比べて、『加藤印のテレビ』を選ぶ人が居るかもしれません。しかし一般的に買われるのはよく知っているパナソニック製のテレビです。
 
  お客様は「知らないメーカーだと故障しないだろうか・機能・性能は大丈夫だろうか?」と不安を感じます。特に日用雑貨のような消耗品でなく、テレビのような耐久消費財はその傾向が強いと思います。食品は「目で見て、品質」がわかりますので知名度が低くても品質と価格で勝負できますが、それでもがそれでもメーカー品と並べられると厳しいと思います。

 

  買う側の立場に立てば起業したて、無名の会社の製品は「いい商品かどうか」など全くわかりません。なので、名前も実態も知らない会社が作った商品は単価(売価)が高いほど購入を決断するのに勇気がいります。


  ところが、売る側は「いい商品なのに何故売れないのか?」という壁に当たってしまいます。「比べてもらえれば良さは絶対わかるはずだ」と社内で叫んでみても、お客様には届きません。店頭にいるお客様から見れば、信じられない人に説得されているようなもので、よほど興味がなければ耳を貸してもらえないのです。信じられない商品は比較対象にしてもらえないのです。

 

  技術者の方が独立されるときによく誤解されるのが「いい商品だから必ず売れる」という理屈です。

  「いい商品だから売れる」のは正しいい考え方なのですが、「必ず」は誤解です。いい商品でも相応の広告を実施して認知を高めたり、お客様に語りかけるように商品を説明するような営業したり、一生懸命に売らなければ買ってもらえないのが真実なのです。市場を眺めて頂ければ「よい商品」がずらりと並んでいるのに気づかれると思います。既に、この世の中は便利でよい商品があふれているのです。

 

  もう一度、申し上げておくと、知名度(認知)がない=お客さんの信用がないという状態です。

 

  起業したての個人も全く同じ状態です。提供する製品やサービスが選ばれにくくて当たり前です。対策は「認知度」を上げていくこと以外にありません。地道に認知を取っていく活動が必須です。最初から「テレビCM」は無理だと思いますので、まずは自分の身の回り、商圏、ビジネスエリアで「こんな商売を始めました」というアピールから始めていきましょう。

 


ぶたのイメージ

知名度を上げていく(認知を取っていく)

 

  起業して、『認知を取る』ことに恥ずかしがっていてはダメです。とにかく露出して(人目に触れて)、宣伝のためにできることならなんでもやりましょう。そうすれば、徐々に認知は高まっていきます。

  会う人にチラシを手渡す、商売のことをお話しする、よければ改めての面談をお願いして詳細な説明をさせて頂くなどであなたの商売を知ってもらえるようにできる限りのことをするべきです。

 

  少なくとも「チラシ」は作りましょう

 

  チラシはお店を開くときには大量に必要です。こじんまりと個人でやるときなどは少量でも構いませんが、必ず準備しましょう。話だけだと広がりが限定的です。よほどのインパクトがないと人から人へ情報が広がっていきませんがチラシは紙なので残ります。渡した人のリマインド(思い出してもらうこと)や何気ない紹介へとつながっていきます。

 

  面倒ではありますが、正確に自分の商売を伝えるチラシ・パンフレットの準備は絶対に必要不可欠なのです。

 

  自分の媒体(情報発信ツール)として有効なのはインターネットです。インターネットは接続料さえ支払っていれば、ブログをしたり、ツイッターやフェイスブックといったSNSで情報発信するのは無料でできます。またホームページもjimdoなどを使えば無料で作れたりします。 どこから商売が広がるかわかりません。万が一ぐらいの確率ではありますがメディアに取り上げられるチャンスも『ネットに出ていればこそ』出てきます。

 

  グーグルやヤフーなどで広告(検索したときに出てくるアドワーズ広告など)を展開するのは儲かってきてからも構わないと思います。まずは無料のツールであるブログやSNSを使って、情報発信をこまめに行い、手の届く範囲・身近なところから告知を毎日少しずつでも広げていきましょう。

 

 

ぶたのイメージ

どれだけの認知が必要か?

 

  認知を取るために、どれだけ告知すればいいのか?

 

  実はこの「どれだけ広告をすべきか?」という問題は起業する人だけでなく、大手企業も含めてよくわからないのが実態です。広告というのは効果があるのはわかっているのですが、ではその適正な出稿量というのはわからないのです。業界や商品によっても違いますし、時期などによっても変わります。

 

  あくまでも目安としてですが 私は「商売を維持するのに必要なお客様量」×10倍ぐらいは必要かと思います。 例えば75人の新規客とらなければならないとしたら、750人~1000人ぐらいはあなたが商売をしていることを知っていて買ってもいいと思っていないとダメだということです。

 

  言い換えると自分のビジネスを知ってくれている全ての人にチラシを撒いたとして、『チラシを持ってきてくれる人が10人に1人いる』という想定です。一般的に1割の反響が得られれば大成功です。実際に新聞折り込みなどを入れて商品を買ってもらえる確率は0.3%未満が通常ですから、10人に一人は広告的に見れば『大甘』な想定です。

 

  しかし身内に撒く、歩いてこられる商圏内に撒く、ということで考えるとチラシをもらった人が10人に一人の割合で来てくれてもいいかな?というのは個人的にはそれほど過大な期待でもないと思っています。チラシを撒きながら、実際にチラシを持ってきてくれた反響を確認しながら、次のチラシを準備して頂ければと思います。